学校図書館を考える会・静岡(2023)
静岡市では小中学校105校に専任の学校司書が配置されています。勤務時間は1日5時間、日数は学級規模と児童数を基準に年175日・163日・155日・125日・45日で、資格要件は問われていません。中山間地を中心とした小規模校15校では、通年で配置された学校図書館支援室の学校司書2名が、勤務時間は週あたり25時間、各校を月に1度巡回しています。
4年前から教育センターに学校図書館支援室が設置され、全体ビジョンの明示や各校の環境整備が進められています。このことは評価しています。
今年度からの第3期静岡市教育振興基本計画では、学校司書を「補助」とする従来の記述が「学校図書館サービスを担う学校司書」と書き換えられました。また、情報活用能力を育てるために学校図書館とICT双方を活用する必要性にも言及されています。施策の実現には、専任・専門の学校司書が必須であることを働きかけていきたいと思います。
私たちの会では、オンラインによるゲスト例会を開き、GIGAスクール構想や文科省の拉致問題関連図書充実の要請について学習しました。昨年度末には市長選立候補予定者への質問書を送付し、回答を会員や関係者、マスコミに知らせました。
今後、電子書籍や電子図書館の導入により公共図書館との連携がますます重要であると言われていますので、各地の事例を教えていただきたいと思っています。
豊中図書館の未来を考える会(2023)
豊中市は2021年2月「豊中市(仮称)中央図書館基本構想」及び「地域館の再編成(案)を出しました。その時点で、11ある図書館を5館に減らし、床面積8割に縮小するというものです。これに反対する市民運動に全国の皆様からたくさんの署名をいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
このことは、学校図書館にも大きく影響しています。公共図書館と学校が連携して地域の子どもの読書、学びを支えるという主旨のもと、週2回の連絡便と両者の情報交流を8館で行ってきましたが、現在4館での対応となり、公共図書館の負担増や配本ミス、情報稀薄は否めません。6年後には中央館のみの対応となり、連携から支援になります。
1993年から順次、1校1名の任期付短時間雇用の学校司書を配置。2022年から1,000名以上の大規模校2校を2名配置に。そのうち1名が会計年度任用職員。今のところ勤務時間数、雇用形態の違いからどちらが指示を出すかの問題はあるが、2名になったことで、仕事が大巾にはかどり、評価されている。ただし、問題点を明らかにしないと、今後全員が会計年度任用職員でよいとされてしまう恐れがあるので、司書組合では問題点を明らかにして、当局に伝える予定。
学校図書館を育てる吹田市民の会(2023)
2018年度に実現した、読書活動支援者(旧臨時職員・会計年度任用職員)の小学校36校への全校専任配置は、今年度も継続できています。
勤務時間は、9:45~16:30、週5日30時間です。ただし、2022年の2学期から支援者と学校側とで話し合い、1時間目から勤務することが可能になりました。
中学校18校は、2校兼務(隔週勤務)で、10:30~15:00、週5日20時間です。
公募の資格要件は、「司書か、司書教諭の資格を持つ人」です。常時履歴書を受け付け、欠員が出たら、そこから補充します。勤務評価をもとに継続雇用されています。
蔵書に関しては、学校図書館図書標準達成率100%をほぼ達成したことを理由に、資料費が減っています。
当面の課題は、中学校の1校専任配置化、資料費増(新聞や雑誌の配備を含む)、研修増や読書活動支援者連絡会の開催など。連絡会については、7月に支援者全員参加のオンライン交流会が実施されることになりました。一堂に会するのが理想ですが、まずは一歩前進です。
長年の課題であった公立図書館からの物流について、2021年秋に中央図書館に「子ども読書活動支援センター」が設置され、連絡車の月1回の定期運行が始まりました。2023年度からは校数に制限はあるものの、もう1回臨時便が利用できるようになりました。
毎年、会として要望書を提出し、教育委員会の担当者と懇談会を持っています。
読書活動支援者は、有志で月1回土曜日に勉強会を持つなど、熱心な人が多いです。市民の会は、それを応援するため、図書館の出前講座を使って、調べ学習に使える本を中心に新刊を紹介する学習・交流会を開催しました。夏休み明けには、総会と講師を招いた総会記念講演会を行う予定です。
学びを広げる学校図書館の会・堺(2023)
学びを広げる学校図書館の会・堺は2014年の4月に発足しました。
子どもの読書環境整備には学校図書館の充実が大切です。私たちは、子どもの文化・育ち、地方自治という広い視野で捉え、片山義博氏(元総務大臣)、広瀬恒子氏(親子読書地域文庫連絡会)、熊丸みつ子(幼児教育)、其輪純子氏(学校司書)、斉藤惇夫氏(児童文学者)、阪本和子氏(子ども読書活動行政職員)、村中李衣さん、大西暢夫さん、大平睦美さんをお招きして、講演・学習会(子ども夢基金を活用)をしながら、先進学校図書館清教学園や地元の学校図書館見学を重ね、子ども一人ひとりを大切にした教育・学校図書館の充実を願い、議会への陳情書・要望書を提出し、教育委員会学校図書館担当との懇談会も年一回持っています。二か月に一回の例会をしながら活動しています。
堺市の現状は、
現在2中学校5小学校(研究校)には専任の担当者が配置されています。その他129小中学校には、「学校図書館サポーター」(有償ボランティア)を年間70回活用しています。(一つの学校に2~3時間 週に1回に2回程度)。そして、やっと小中学校に2校に一人学校司書(1日4時30分勤務)が配置されました。
一日も早く、全小中学校一校に一人の専任の学校司書の配置計画をしてほしい。みなさまぜひ「会」ご参加下さい。ごいしょに子どもたちの学びを広げる学校図書館について考えましょう。と呼びかけています。
より良い図書館をめざす会(2022)
三重県亀山市で図書館活動を充実させる市民活動に取り組んでいます。
亀山市の小中学校の学校図書館には、1名、非常勤の学校司書が配置されています。(週2~3日勤務、複数校掛け持ちの司書もあり)学校図書館アドバイザー(退職教員)を2名配置し、学校図書館活動の充実を目指しています。
私たちの会は、市立図書館の駅前への移転・新設にともない、市民と学校の図書館活動の充実を目指して、政策提言、要望、学習会、イベントなどを行っています。学校司書を支え、ボランティアとも協力し、市立図書館が学校図書館との連携を図り、学校図書館活動が充実することも活動の目標にしています
考えよか志摩の図書館(2018)
志摩市の学校図書館に学校司書を配置の市長要望をした。市長面談の後、市教委が、三重県でもっとも進んだ活動をしている多気町の学校図書館を視察に行ったそうだ。
多気町は町内小中学校7校すべてに、臨時職員だがフルタイムの学校司書を専任で配置している。各校に一人ずつ学校司書が配置されていることがどんなに素晴らしいかを見て、その結果、市教委は志摩市小中学校13校に、多気町と同様の配置を目指し13名の臨時学校司書を予算要望してくれた。しかし学校司書配置の必要性は理解を得ることが難しかったようで財政難を理由に最終的には3名に削減されてしまった。その結果、2018年3月末に3名が採用され、市内の小学校7校に、各校週2日(1校のみ3日)勤務する学校司書が配置された。一人で2校または3校の勤務形態。臨時的任用職員の待遇であり、長期休業中は勤務がなく、1年更新だが継続させていくとのことだった。
今回採用された3人は司書資格を持ち、小学校図書館ボランティアや公共図書館司書の経験者もおり、たまたま3人とも会のメンバーとなった。市教委は次年度以降も予算要望を続けて、中学校への配置を目指すとのことだった。「考えよか志摩の図書館」では、2月11日に、市民や市議会議員を対象に、学校司書の役割や学校図書館への理解を広めようと学習会を開催した。「志摩の子どもと本をつなごう」というテーマで、27名の参加があった。
本があって人がいる学校図書館を願う会・香川(2023)
1997年、岡山県倉敷市で開催された「学校図書館に人を置こう全国の運動を語り合う集い97」への参加を機に、会を発足、高山智津子さんを招いて第1回「学校図書館を考えるつどい」を開催。以降、毎年講師を招いて20年間「つどい」を開催してきた(講師陣は、塩見昇さん・広瀬恒子さん・梅本恵さん・五十嵐絹子さんなど)。
1999年からは、市長・教育長に要望書を提出、教育委員会学校教育課と年3回懇談を行っている。2013年には、学校司書の配置状況や懇談の報告などを掲載した「ニュース」を創刊、高松市はもちろん、全国の学校図書館に関する情報や、学校司書自身が書く「学校図書館訪問」などを掲載し、現在29号まで発行している。
1996年に2名の学校司書が配置されて以来、2015年まではほぼ毎年増員され、62名の学校司書が市内69校の全小・中学校に配置されるに至った。しかし、全校専任配置まであと一歩のところで、財政が厳しいことを理由に増員がストップ、2020年度からは、小規模校の学校司書が、大規模校へ週に1日、サポートに行くケースが導入され、専任化に逆行するものと反対したが、現在は3ケースとなってしまっている。
また、特別な支援を必要とする児童生徒のための「特別支援員」の配置を優先したいとの理由で、2023年度は、学校司書が2名削減され、専任も4校減となってしまった。こうした削減は、まだ数年継続されてしまいそうである。
会計年度任用職員としての勤務は、週5日・1日6時間である。資格要件は、教員免許、司書教諭資格、または図書館司書資格を有するものとされている。実際の呼称は「学校図書館指導員」で、毎年「学校司書に変更を!」と要望しているものの、納得のいく理由のないまま変更されず、今に至る。
学校図書館を考える会・丸亀(2023)
昨年度は、コロナ後久々に講演会を実施。
・丸亀市の学校司書の配置は、平成26年から変わらず(異動はあり)。
公立小中学校、20校で1校専任配置。島嶼部3校は兼務だったが、子どもが少なくなり、令和2年から本島小と本島中が一箇所になった。小手島中は今年から休校。
・勤務時間:1日7.5時間(授業のある日) 会計年度任用職員。
・年間勤務日数:授業日数+数日(長期休業中の勤務)
・研修:集会での研修再開。中止されていた外部講師を招いての研修は未定。
・学校図書館ボランティア:コロナで中止していた学校でも活動再開。
・丸亀市では、最初の学校司書が、平成14年に、1校専任、4校で配置された後、徐々に増
員された。昨年、20年勤続の学校司書が退職。
・会報『風 学校来ぶらり』は、会員だけでなく、市長、学校・幼稚園・保育園・こども園、PTA
役員、教育委員会、教育委員、市議会議員などに配布。図書館などに、自由に持ち帰れるよう
に置いている。丸亀の学校司書配置の歴史や思いも紡いでいる。
・毎年11月頃に、教育長に要望書を提出し懇談している。
学校図書館を考える会・やまぐち(2022)
県内学校図書館には残念ながら特に進展はなく、前年のとおり変化は無かった。
県内13市6町の小中学校図書館への学校司書の配置は複数校兼務の巡回勤務で全員非正規職員であることに変わりなく、司書資格無しや他業務との兼務も含まれ、会計年度任用職員制度による勤務条件の好転も特にない。
県立高校図書館は相変わらず事務職員が兼務で、専門性を無視した配置を続けている、誠に遺憾な実態だ。各学校は新型コロナ感染予防の対応と、昨年度からの全児童、生徒へのタブレット端末配布による対応とに追われたのが実情であり、まがりなりにも学校図書館の担当職員配置で小学校での利用はやや増加しているものの、中学校では相変わらず極めて低調で、高校では言わずもがなの現況である。むしろ、情報機器の導入により図書・新聞・雑誌など多様な資料の利活用がおろそかになる傾向が懸念される状況だ。
当会は、昨年4月グランドオープンの山口県立大学図書館とともに山口大学図書館の見学を計画したが、両大学ともに新型コロナ対策として学外者の入館が制限されたため残念ながら実施できず、今年度に延期する予定である。
学校図書館を考える会おかやま(2021)
●活動の流れ
2018年から「学校図書館を考える会おかやま」を設立。会計年度任用職員制度の導入によって学校司書の立場(任用)が大きく変わることを懸念し、講演会や図書館カフェなどを開く。署名活動は学校司書の専門性をいかしたいという多くの方の願いをうけて、23,690筆の署名を2018年10月に市へ提出。また、「学校図書館・図書館の充実を求める陳情書」を市議会に提出し、2019年9月議会で全会派一致での採択をされた。
● 岡山市の学校図書館「学校司書配置状況と待遇」の‘19年度と‘20年度との比較
*正規職員(勤務時間 38.75h/週)30 名 → 60 才退職により 25 名
*嘱託職員(勤務時間 36h/週)99 名 → 希望者 98 名が全員、会計年度任用職員(勤務時間 36h/週)として移行。
ただし、勤務時間については 2020年度から3年間は変更なし。職員月額報酬は 2020 年度から6年間は変更なし。
*司書職の正規の採用試験実施 → 採用者は公共図書館配置。学校図書館の
配置はなし
*元正規の学校司書が再任用職員(勤務時間 31h/週)として7名、配置された
●活動の成果
1)学校司書の1校1名配置の堅持
2)学校図書館・学校司書の役割や取り組みを発信し学習できる場の設置
(市民フォーラム、学校図書館 カフェなど)
3)学校図書館・学校司書の必要性について、市民の声を可視化し行政に届ける
(署名・陳情書の提出)
4)「学校図書館・市立図書館の充実を求める陳情書」が9月市議会において全会
派で採択
5)嘱託職員から会計年度任用職員へと、雇用の継続
● 課 題
1) 学校図書館・学校司書の役割や取り組を発信し学習できる場の拡充
2)学校司書の正規職員での全校配置
3)非正規職員での配置・待遇の改善
・継続雇用の保障 ・会計年度任用職員の勤務時間の4年目以降の保障
・職員報酬の6年経過後の改善 ・勤務時間の短い再任用職員のあり方の改善
沖縄県(2019)
沖縄県では、県立高校だけでなく、小中学校においても多くの地域で学校司書が配置されてきた経緯がある。様々な事情により、県全体の学校司書の正規職員の比率は低下してきているが、県立高校については、26年間の採用停止の後、2011年度に採用試験が復活し、その後「若干名」の募集枠の下、「退職者補充」という形で毎年、1名~3名程度が採用されてきた。
2018年度に実施された試験でも、当初は「若干名」という募集だったので、3名程度の採用かと思われたが、一次試験合格者が19名、二次試験合格者が13名、その後採用辞退もあったとのことで、最終的に配属されたのは10名となり、県内の図書館関係者の間でこの二桁の採用者数は大きな話題になった。そして2019年度実施試験では募集要項段階で「6名」と明記されている。
2018年度の県立高校の司書退職者は4名、うち2名は再雇用と聞いているので、退職者数よりも多く採用したということからは「学校司書の正規化」という方針が打ち出されたようにも思われる。ただし、大量採用があったということは、非正規雇用の方が退職したということでもある。現在も県立高校では非正規職員の比率は6割近くに上っている。この中には、26年間の採用停止期間に採用試験を受験する機会すらなかった方々もおられる。「正規化」という方針は歓迎しつつ、全国連絡会のネットワークの力もお借りして、採用試験の年限の撤廃なども求めていければと思っている。