学校図書館を考える全国連絡会より第25回集会で発表
学校図書館を考える全国連絡会 2022年アピール
子どもの豊かな学びを実現するために
実効ある学校司書の配置を求めます!
新型コロナウイルス感染拡大の中、学校現場ではデジタルの環境整備が早急
に進められています。小中学校と高校では、「主体的・対話的で深い学び」を重
視する新学習指導要領が実施されています。さらに、中央教育審議会答申にお
いては、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学
びの実現」という具体的な取組が示されました。
学校図書館は学校のなかの「図書館」であり、児童生徒の探究的な学習や
ICT教育を支える情報リテラシーの育成は、学校図書館が機能することによっ
てこそ可能となるものです。学校図書館は一人ひとりの子どもの豊かな読書と
「学び方の学び」、教師の教材研究や創意ある授業を支援します。そのために
は、専門的な学校司書配置と各校における学校図書館に対する共通理解が
が不可欠です。
しかし、学校図書館の根本的な問題はまったく解決に向かっていません。
2014年の改正学校図書館法により法律に位置づけられた学校司書の配置
が努力義務に留まっていること、同法第6条の「専ら」が明確ではないこと、
資格要件や研修、養成について等、課題は未だに残されたままだからです。
学校司書がきちんと役割を果たすためには、1校に専任で配置され、学校設
置者の直接雇用で学校の教職員の一員として位置づけられ、専門的な知識と
技能があり、研修も保障されることが重要です。さらには職務の継続性と専門
性に鑑み、正規職員であることが必須の条件と言えます。
ここに、私たちは国と自治体に何度でも求めます。
「学校図書館職員の現状」の正確な把握と課題を明らかにするとともに、学校
司書の身分、勤務条件の整備をはじめとし、学校図書館に携わる教職員や学
校図書館における図書館資料、ICT環境の整備など、学校図書館のさらなる
充実に向けた取組と予算措置を講ずることを。
私たちはこれからも、全国各地の長年にわたる学校図書館づくりをさらに前
進させることができるよう、各地で活動する人たちと互いの運動の成果や課題
を共有し、学び合い、運動の輪を広げていきます。
2022年7月16日 学校図書館を考える全国連絡会
第24回 記録誌 刊行
問題提起「『図書館年鑑』の編集で感じたこと
ー最近の行政文書を読んで」
講師 堀岡 秀清 氏
(『図書館年鑑』編集委員)
記念講演「学校図書館はなにを目指すか
自由な学び・読書を支えるインフラ」
講師 片岡 則夫 氏
(清教学園中・高等学校 探究科教諭)
【資料】 各地から寄せられた情報
全国連絡会について
頒価 700円(送料別)
ご注文の場合は、「問い合わせ」へ
ひらこう!全国交流会
終了いたしました。
日時:2022年
2月13日(日) 14:00~16:00
会場:Zoom
内容:
・全国連絡会の要望書提出の報告
・「学校図書館図書等の整備・拡充を求める
各界連絡会」の参加報告
・参加者による活動報告と情報交換
令和3年9月6日(月)付で、文部科学大臣と総務大臣に要望書を郵送しました。以下、文部科学大臣への要望書です。
令和3年9月6日(月)
文部科学大臣
萩生田 光一 様
学校図書館を考える全国連絡会
学校図書館の充実と学校司書配置に関する要望書
私たち「学校図書館を考える全国連絡会」は、1997年に全国すべての学校図
書館の整備・充実を願って活動する市民団体のゆるやかなネットワークとして結
成されました。現在は全国各地で活動する個人60名、団体29が加盟し、お互い
の活動の成果や課題を共有しつつ、学校図書館にかかわる活動を休まず続けて
います。
文部科学省では、平成28年度の調査より4年ぶりに「令和2年度 学校図書
館の現状に関する調査」を実施されました。そして、7月29日付HPで学校図書
館への司書教諭や学校司書の配置状況等の調査の結果を公表されました。「学
校司書」を配置している学校の割合は、「小・中・高等学校でそれぞれ68.8%
64.1%、63.0%であり、小・中学校は前回より増加したが、高等学校は減少」と
まとめられています。そして、「今後の対応」として、「学校司書、図書及び新聞に
ついては、学校図書館図書整備等5か年計画に基づき、地方財政措置が講じら
れており、引き続き、計画的な整備を進める」とあります。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、学校現場ではデジタル環境整備が
早急に進められています。小学校と中学校では、「主体的・対話的で深い学び」
を重視する新学習指導要領の本格実施が始まっています。中央教育審議会の
(答申)においては、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと
協働的な学びの実現」という具体的な取組が示されました。
このような大きな転換を求められている教育の実現に必要なのは、学校図
書館の教育力です。目指される新学習指導要領の実施や、ICT教育を支える
情報リテラシーの育成は、学校図書館の機能がなくては実現できないことです。
そして、学校図書館の教育力は、専門性を持った学校司書が日常的に、一人
ひとりの子どもの豊かな学びと自由な読書を支援し、教師の教材研究や創意
ある授業に大きな役割を果たさなければ生み出すことはできません。
にもかかわらず、新しい教育への転換を迎えた現在、学校図書館の教育力を
生み出す学校司書の配置には、あまりにも多くの問題が存在します。職務の継
続性と専門性を鑑みますと、正規職員である学校司書が1校に専任で配置され
ることが必要ですが、 ここではまず学校司書の1校専任配置への取組が進むよ
要望1 : 令和4年度からの学校図書館関係の地方財政措置をさらに充実させ、
各義務教育諸学校に学校司書を1名配置できるよう予算措置すること
全国にはまだ学校司書が配置されていない学校図書館があり、学校司書が複
数校兼務や巡回勤務により1校に週数時間しか勤務できない学校図書館があり
ます。しかし、今回の「学校図書館の現状に関する調査」でも、学校司書の兼務
での配置が多いにもかかわらず、高い配置率になっている自治体が見られます。
配置の実態は十分に把握できているとはいえません。さらに、外部委託による
学校司書配置の調査はまったく実施されていません。
このような実態を正確に把握しなければ、本来の課題を明らかにすることはで
きません。以下を要望いたします
要望2 :文部科学省による「学校図書館の現状に関する調査」を毎年実施すること。
調査票を公開するとともに、学校司書配置の実態が正確に把握できるよう、
調査項目と集計方法を改善していくこと。
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なお、各大臣への要望書提出に関しては
衆議院文部科学委員会/参議院文教科学委員会/衆議院総務委員会委員/参議院総務委員会/学校図書館議員連盟/全国知事会/全国市長会/全国町村会/公益社団法人日本図書館協会/公益社団法人全国学校図書館協議会/公益財団法人文字・活字文化推進機構に通知を行いました。