「公開講座 学校図書館を学ぶ」
(児童文化講座)報告
共 催:大阪市立中央図書館
後 援:大阪府教育委員会
日 時:2020年10月13日(火)10:00~15:00(開場9:30〜)
会 場:大阪市立中央図書館大会議室
■第1部 講演会10時~12時 定員80名
講師 片岡則夫氏
(清教学園中・高等学校探究科教諭)
「探究学習と学校図書館~子どもの個性の多様性を生かす~」
■第2部 情報交流会13時~15時 定員80名
学校図書館、探求学習などについて情報交流
清教学園学校図書館リブラリアは中高生1600名(中学12クラス・高校30クラス)が利用する。蔵書は約6万7000冊。先輩のレポート約2500冊も貸出しをしている。清教学園では中学1年~3年までの総合学習に色々な探究学習を入れている。
「ブックハンティング」は中学1年に1時間行い、分類番号0~9の棚から自分が面白いなと思う本を1冊ずつ持ってきて、著者名・タイトル・分類番号を記録して元の棚に戻す。次に、同じ手順を4人グループ、40冊で行う。本の分類と並び方が理解でき、学校司書の仕事がわかる。学校図書館のユーザーに育ってもらう。
「ミニ調べる学習」は、中学校1年が約5時間かける画用紙1枚で行う初めての探究学習で探究学習の大事なことが詰まっている。企画書を書く。百科事典を使って定義を考える。ピースと呼ばれる学習のカケラ、素材を組み合わせてカードに書く。自分のアバターを作り、レポートの中で語らせるなど、アカデミックライティングの基礎がこの演習の先にある。自分の知りたいことを調べてまとめるのは楽しい・・が最大の目標である。
「卒業論文」は中学校3年で約30時間かける。テーマで一番大事なのは興味を持つということ。フィールドワークを行い、最終的にまとめて年度末に発表会を行う。
カリキュラムに組み込まれた、3年間積み重ねていく探究学習について、豊富な実践資料とともに学ぶことができたとても貴重な講演だった。
第19回子どもに豊かな育ちと読書のよろこびを
学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどい報告
主催:学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどい実行委員会
日時:2020年1月13日(月・祝)11時~
会場:全国教育文化会館 エデュカス東京
講演:
「図書館民営化の何が問題か~サービス・経費・職員体制をデーターより検証する」
田井郁久雄 氏(元広島女学院大学准教授)
日本図書館協会の最新の調査では、全国の公立図書館の16.8%が指定管理、職員数では32.8%を占めている。田井氏は全国各地の公立図書館の貸出数・資料費などの推移を『日本の図書館』を基にグラフ化し検証している。その画像を示しながら、「民営化」で本当に“サービスの向上、経費の削減”になっているか、指定管理導入前と導入後の変化など、全てデータに基づいて話された。
✱「サービスは向上しているか」……民営化で開館時間・開館日は増えている。特に新築・改築オープンの場合は、マスコミの報道もあり一時的に利用が伸びているが、数年たたないうちに低落するところが多い。マスコミが取り上げるのは開館当初だけで、その後の状況はほとんど報道されない。だから一般読者は「民営化するとすごい」という印象を持ったままである。最近は集客が重視され来館者数が話題になるが、図書館資料の利用増とは異なる。またサービス実績は後退しているのに、指定管理期間更新時に委託料が増額しているケースもある。民営化後5年以上の貸出数の推移や図書館費をきちんと検証すべきである。ほとんどの場合、指定管理導入による経費の大幅削減は実現されていない。また地域・郷土資料、目につきにくい資料の収集・整理・提供ができていない。
✱「なぜ指定管理の図書館で利用が伸びないのか」……継続的・長期的なサービスができないという構造的な弱点。指定管理の職員体制(大半が雇用期間限定の非正規職員)。
✱マスコミ報道の影響は大きい。直営で活気があり貸出を伸ばしている図書館をもっと取り上げて、マスコミや市民に知らせていくことが必要。