世田谷の図書館を考える会(2024)
世田谷区の全小・中学校図書館が業務委託になって5年が経過します。その評価と検証
は、単独に教育委員会が行うのではなく、全庁的取り組みとしての行政評価と、事務事業評価として行われています。安定的に運営できている企業であり、業務委託導入後、大きな問題はなく、学校図書館は維持されているというのが区の認識です。
2024年4月、第3次図書館ビジョンが5年間の計画で施行されました。
学校図書館に関しては、学校図書館との連携、役割分担の明確化と学校図書館等と区立図書館の連携体制づくりを明記し、今までと大きな変化は見られません。
第3次図書館ビジョンに、「中高生世代の居場所となりその成長を支える取り組み」を重点項目として取り入れたことは評価したいと考えます。
具体的な行動計画は今後の課題ですが、学校図書館の充実及び区立図書館との連携がより求められることになります。
業務委託の学校図書館と指定管理館の区立図書館(16館中5館が指定管理館)との連携、つまり区の職員不在の情況で運営されることをとても危惧しています。
学校図書館を考える会 ねりま(2024)
会の活動ブログ(schoollibrary-nerima,cocolog-nifty.com/)
昨年度と変更なし。年間100日、1日6時間、TRC委託の学校図書館管理員の全校配置。時間に厳しく、学級数に関係ない配置のため、学級数の多い小学校は特に大変。(一桁の学級数から20学級以上の学校があり、3倍以上の差がある)大変さから途中でやめる管理員もある。議会に直雇用と時間延長の陳情を出したが、継続審議となる。区は委託ではなく派遣を考えているようで、直雇用は考えてくれない。
専任司書がいる学校図書館を実現する会in杉並(2012年に解散)
品川の図書館・学校図書館を考える会(2024)
会の名称を、図書館の問題や、図書館との協力も一緒に考えるということで「品川の図書館・学校図書館を考える会」とした。
品川は、2005年に学校図書館運営スタッフとして、資格を問わない人が週2.5日(週15時間勤務)が入り、その後はまったく変わらないという状態が10年以上続いていた。
2022年度は、区内全校の5年間の委託契約が更新になるので、直接雇用、5日間を学級数の多いところから配置して欲しいと区議会、区教委に要望し、区側も予算要望を出した。資格要件については、司書・司書教諭資格または3年以上の学校司書的な仕事の経験が加わり一歩前進したが、その他の前進はないという残念な結果であった。
2023年度、区長・教育長が変わったこともあり、区長、教育長にも要望書を提出したが面談はかなわなかった。品川区の小・中学校では生徒数の増加が続き、28学級のところも出て、20学級以上はさらに増えきているので、秋には、区内の学校図書館スタッフやボランティア、区議も参加して「学校司書がいるとどんなことができる?」という学習会を3年ぶりに行い、「毎日学校司書がいる図書館を」と署名活動に取り組んだ。学校で読み聞かせをしている保護者でさえ、「図書館には司書がいるものと思っていた」「学校司書って貸し出しや本の整理だけではないんだ」という声が聴かれ、署名運動は、前回より地域には広がった。しかし、区議会では、昨年5年間の契約が結ばれたばかりなので、大きな変更はできないと不採択であった。しかし、「趣旨には賛成」「5年後では間に合わないと思う」という発言もあった。3月の議会で「大規模校から5校、週3時間プラス」というささやかな増加となった。
どんな小さな増加であっても、十数年ぶりに時間数が増えたことは、毎年陳情する中で、区議の学校図書館への理解が深まってきていることの反映であるととらえ、今年は、「さらに計画的に時間数を増やしてほしい」という陳情書と提出する予定である。
多摩市学校図書館を育てる会(2024)
多摩市では2003年度に小中の学校図書館司書の全校配置が完了した。1校専任、有資格者、身分は会計年度任用職員(通年補助スタッフ)。勤務時間は1日5時間、週25時間以内、年間勤務日数は学校規模により多少異なる。長く勤めている人も多く、市の研修は限られているため司書仲間で自主研修を積んで頑張っている。それなのに「補助スタッフ」の位置付け。ところが市立図書館の会計年度任用職員は「専門スタッフ」、学校事務も「専門スタッフ」の位置づけ。学校司書は全員有資格者で仕事をしているのに、なぜ「補助スタッフなのか?」と大きな疑問が出ている。そこで毎年市教委に出している「学校図書館の充実についての要望書」で「専門スタッフに」と要望したが、「他の職種の均衡等、市全体としてさまざまな状況を考慮する必要があり、今すぐの現行制度の変更は難しい」との回答。重要なことなので教育長にも面談し再度要望したいと考えている。
その他「資料費の増額」「図書館に教科書を」「学校図書館にも専用のタブレットを」など要望したが、解決したものはない。
◆会計年度任用職員制度の影響について
待遇面では以前と大きな変化はない。今年度、勤勉手当がつくようになった。
日野の学校図書館をもっとよくする会(2024)
2024年度、学校司書の配置状況がかわりました。これまで、市内3校のみの配置であったところ、一応全校に配置。ただし、ほとんどが2校兼務。従来の有償ボランティアもそ
のまま継続ということで、きわめて複雑な形となります。
どの学級にも対応することは当然不可能で、ITを活用しての勤務状況の報告が求められ、学校図書館の本来あるべき形とはかけはなれた、IT優先の施策となっていることが顕著です。いわく「日野にしかない形」だそうで、教育委員会は自信たっぷり。
今後の運動をどうすすめていくかの知恵が必要です。会計年度任用職員は不安定、使い捨ての制度です。学校司書は教員と同じ勤務条件であるべきです。
狛江の学校図書館を考える会(2019)
① 7月 パソコンのリースアップ及び学校図書館貸出等管理システム 探調との契約満了に伴い学校図書館のパソコン入替及び貸出等管理システムが変更された。(新システムは富士通 lib@school) システム変更に伴い・市内各校の蔵書がオンライン化された。それまでは、貸出返却用パソコン1台と事務用パソコン1台あったのが、貸出返却用1台のみとなる。(事務用は貸出返却用で兼ねる)。現場と新システム業者とはソフト面に関する打ち合わせが無かったため、運用後混乱が続いた。
② 2018年12月末日 市内小学校司書が1名退職。翌年5月連休明けまで担当者不在状態が続いた。市内某小学校においては、学校司書が目まぐるしく変わる状況が続いている。
③ 学校図書館活用ノート 本の森 改訂作業開始。活用ノート作成からほぼ10年が経過した。教育課程の変化に対応した内容への見直し、改訂作業を令和元年行うことが決定した。
付記:市内各学校図書館において週5日開館へのニーズが高まっており、それに対応した学校司書勤務条件の向上が急務となっている。
課題 ・市内においても小中学校、また小学校間でも児童・生徒数、クラス数が大きく異なっているのにも関わらずこれに対応する勤務時間の確保は無く、または定期的人事異動が全くなされていない。 ・特に小学校司書の勤務条件は激務である。勤務時間数以上のクラス数を抱える学校もある。様々な場面で司書の個人的努力に支えられている学校図書館の在り方はいかがなものか。
・近い将来、続々と退職者が出ることは周知の事実である。早急に今まで培われてきた狛江市学校図書館のレベルを維持・向上できる学校司書を採用できる待遇また、学校図書館活動を支援する部署の設置が求められる。
府中・学校図書館を考える会(2019)
府中市の小中学校図書館は、学校図書館指導補助員として各校にはいちされて16年を経過した。再任用可能年数が2年であったが、6年前より「規定なし」になり、職名も「学校司書」と正式名称になり、改善された面もあるが、採用の仕方(他の補助講師との関係)や研修・報酬等にはまだ改善が必要である。毎年教育委員会には要望書を亭主しているが、今後も続けていくことが必要である。
現在、市では今後の小中学校の校舎改築に伴い、どのような学校図書館を作っていくかということで検討が始まっている。育てる会としても先進的な学校の図書館を参考に、子供達にとってどんな学校図書館が必要かという観点で写真等も添えて要望書を提出している。
町田の学校図書館を考える会(2024)
町田市では2020年より有償ボランティアによる「図書指導員」がほぼ90%以上の小中学校に置かれている。有資格者はおよそ35%程度。既に20年そのまま同じ学校にいる人もおり、固定化・高齢化など様々な問題が放置されたままとなっている。
会で提出した2016年と2017年の「学校司書配置」を訴える請願が採択されたものの、いまだに実現せず、2023年に再度「公募による学校司書配置」を請願して採択された。
しかしその後で市教委と面談した折に、「財政的に無理だと言っているのに議員のみなさんが勝手に採択したことで・・・」という市議会の軽視も甚だしい信じられない暴言を聞き、耳を疑った。今年も指導員交流会や市教委面談とともに、市教委請願なども考えている。
一方学校図書館の問題を広く保護者や市民にも訴える機会として、毎年子どもゆめ基金助成を受けて講演会を実施し、2022年は冨安陽子さん、2023年はアーサー・ビナードさんをお招きした。ビナードさん講演会は100名を超える申込みだったが、ビナードさんのユーモラスでリベラルなお話が参加者を惹きつけた。質問で子どもたちへの英語教育の問題が出され、母語をしっかりと身につけることの重要さの話は説得力があった。
学校図書館の課題についての文章を載せた会報を全員に配布したことで、参加者の共感を得ることもできた。2024年度の終わりにも予定。
八王子の学校図書館を育てる会(2024)
コロナ禍で行政との話し合いの場が中断し、学校司書の勤務日数(現在の週一日4校兼務から、まずは2校兼務)についての要望が前進していません。週一日とはいえ学校からのニーズは高まり、先生方からも頼られる存在となっています。
それを支える学校図書館サポートセンターが、蔵書点検や資料提供など物流にもかかわり、研修にも力を入れています。タブレットを利用して資料提供や情報交流を行えるように「学校図書館サイト」を立ち上げていて、一定の利用はあるようです。
学校現場ではいじめや特別支援といったことへの対応も急がれており、学校図書館の活用にどう目を向けてもらえばよいのか、コロナ後の運動を思案しています。「人がいれば良い」という流れになって、安いお金で人を増やすということのないように、これだけは譲れないところです。