学校図書館を考える会・静岡(2022)
静岡市では、市内小中学校105校に専任の学校司書が配置されています。勤務時間は1日5時間、勤務日数は規模により175日(11校)、163日(47校)、155日(15校)、125日(31校)45日(1校)となっています。中山間地などの15校においては、学校図書館支援室所属の学校司書2名が各校を月に1回巡回しています。勤務時間は週あたり25時間、勤務日数は210日程度です。
昨年度は市教育センターのHP上に「学校図書館支援室ポータルサイト」が開設され、教職員や市民への情報発信が始められました。同HPには情報教育支援室の「静岡市GIGAポータルサイト」が併設されています。
市教委のパンフレットによると、今年度の学校図書館教育の取組は、「授業実践事例の発信」「本とICTを活用した授業支援等の学校司書研修」「中山間地の学校図書館の整備とオンラインによる資料探し等の支援」「学校司書の全校配置(専任105校、中山間地兼務15校)」とされています。施策が充実していくのは喜ばしいことですが、十分な実施には、専任の学校司書の常駐と専門性の向上が必須であることを広めていきたいと思います。
会の活動は、コロナ禍の影響で活発ではありませんが、市内学校図書館の状況調査やオンライン例会の開催、会報の発行、セミナー等の情報交流を行っています。現
豊中図書館の未来を考える会(2022)
豊中市の「中央図書館基本構想」の見直しを求める署名活動にご支援頂きありがとうございます。誌面をお借りして心より感謝申し上げます。コロナ禍で私たちですら集会はおろか、人を訪ねる事も憚られる昨今、他市のために声をあげ、足を運んで下さった皆様の暖かいお気持ちにふれ、一層頑張らなければと、決意を新たにしております。お蔭様で1万筆に達しましたが3万筆を必要としています。今後共宜しくお願いします。
豊中の図書館では既に職員が減り、縮小している業務もあります。特に「学校との連携」業務に影響が大きいです。今まで8館で行っていた学校との連携業務が4館での対応となりました。1図書館で7〜8小中学校への週2回の収集・配本サービスと、学期毎の情報交流から、4公共図書館でそれぞれ約15校へのサービスを行うことになりました。既に混乱がおきています。週2回の配本が1回になるのでは?学校司書の毎月の研修が少なくなるのでは?と危惧することが沢山あります。
学校図書館を育てる吹田市民の会(2022)
2018年度に実現した、読書活動支援者(旧臨時職員・会計年度任用職員)の小学校36校への全校専任配置は、今年度も継続できています。勤務時間は、9:45~16:30、週5日30時間です。
中学校18校は、2校兼務(隔週勤務)で、10:30~15:00、週5日20時間です。
公募の資格要件は、「司書か、司書教諭の資格を持つ人」です。
蔵書に関しては、学校図書館図書標準達成率100%をほぼ達成したことを理由に、資料費が減っています。
当面の課題は、中学校の1校専任配置化、資料費増(新聞や雑誌の配備を含む)、研修増や読書活動支援者連絡会の開催など。長年の課題であった公立図書館からの物流については、自動車文庫の廃止に伴い、昨秋に「子ども読書活動支援センター」が設置され、連絡車の定期運行が始まりました。ただ、BM車を利用して配本していた時には要望すれば月2回利用できたのが、連絡車は月1回全小中学校に回ることになり、使いにくくなった面もあります。増便が望まれます。
毎年、会として要望書を提出したり、教育委員会の担当者と懇談会を持ったりしています。担当者が毎年のように交代するので、一からの積み重ねとなり、やりにくいです。教育委員会として、もっとしっかりした体制を作ってほしいです。
読書活動支援者は、有志で月1回土曜日に勉強会を持つなど、熱心な人が多いです。市民の会は、それを応援するため、図書館の出前講座を使って、調べ学習に使える本を中心に新刊紹介と「子ども読書活動支援センター」の説明の学習会を開催しました。夏休み明けには、総会と講師を招いた総会記念講演会を行う予定です。
Wi-Fiが学校図書館に整備されていない学校がほとんどで、「調べ学習は教室でする」と言われる状況だったのですが、今年度中に整備されることになったと回答がありました。
夏休みには、小中学生1人1台貸与された学習用端末で、借出カードを持っていなくても、吹田市の電子図書館を利用できることになりました。読書のきっかけ作りや調べ学習にうまくつなげられるか、読書活動支援者の手腕が問われます。
より良い図書館をめざす会(2022)
三重県亀山市で図書館活動を充実させる市民活動に取り組んでいます。
亀山市の小中学校の学校図書館には、1名、非常勤の学校司書が配置されています。(週2~3日勤務、複数校掛け持ちの司書もあり)学校図書館アドバイザー(退職教員)を2名配置し、学校図書館活動の充実を目指しています。
私たちの会は、市立図書館の駅前への移転・新設にともない、市民と学校の図書館活動の充実を目指して、政策提言、要望、学習会、イベントなどを行っています。学校司書を支え、ボランティアとも協力し、市立図書館が学校図書館との連携を図り、学校図書館活動が充実することも活動の目標にしています
考えよか志摩の図書館(2018)
志摩市の学校図書館に学校司書を配置の市長要望をした。市長面談の後、市教委が、三重県でもっとも進んだ活動をしている多気町の学校図書館を視察に行ったそうだ。
多気町は町内小中学校7校すべてに、臨時職員だがフルタイムの学校司書を専任で配置している。各校に一人ずつ学校司書が配置されていることがどんなに素晴らしいかを見て、その結果、市教委は志摩市小中学校13校に、多気町と同様の配置を目指し13名の臨時学校司書を予算要望してくれた。しかし学校司書配置の必要性は理解を得ることが難しかったようで財政難を理由に最終的には3名に削減されてしまった。その結果、2018年3月末に3名が採用され、市内の小学校7校に、各校週2日(1校のみ3日)勤務する学校司書が配置された。一人で2校または3校の勤務形態。臨時的任用職員の待遇であり、長期休業中は勤務がなく、1年更新だが継続させていくとのことだった。
今回採用された3人は司書資格を持ち、小学校図書館ボランティアや公共図書館司書の経験者もおり、たまたま3人とも会のメンバーとなった。市教委は次年度以降も予算要望を続けて、中学校への配置を目指すとのことだった。「考えよか志摩の図書館」では、2月11日に、市民や市議会議員を対象に、学校司書の役割や学校図書館への理解を広めようと学習会を開催した。「志摩の子どもと本をつなごう」というテーマで、27名の参加があった。
本があって人がいる学校図書館を願う会・香川(2022)
1997年、岡山県倉敷市で開催された「学校図書館に人を置こう全国の運動を語り合う集い97」への参加を機に、会を発足、高山智津子さんを招いて第1回「学校図書館を考えるつどい」を開催。以降、毎年講師を招いて20年間「つどい」を開催してきた(講師陣は、塩見昇さん・広瀬恒子さん・梅本恵さん・五十嵐絹子さんなど)。
1999年からは、市長・教育長に要望書を提出、教育委員会学校教育課と年3回懇談を行っている。2013年には「ニュース」を創刊、高松市はもちろん、全国の学校図書館に関する情報や、学校司書自身が書く「学校図書館訪問」などを掲載し、現在26号まで発行している。
1996年に2名の学校司書が配置されて以来、2015年まではほぼ毎年増員されてきたが、市教委・学校教育課によれば、「財政が厳しく現状維持で精一杯」とのことで、その後は増員がないまま現在に至る。現在は62名の学校司書が市内69校の全小・中学校に配置されている。2020年度から、小規模校の学校司書が、大規模校へ週に1日、サポートに行くケースが導入され、専任化に逆行するものと反対したが、現在は3ケースとなってしまっている。専任は53校、9名が兼任で、週5日・1日6時間勤務、会計年度任用職員である。資格要件は、教員免許、司書教諭資格、または図書館司書資格を有するものとされている。実際の呼称は「学校図書館指導員」で、毎年「学校司書に変更を!」と要望しているものの、納得のいく理由のないまま変更されていない。
学校図書館を考える会・丸亀(2022)
・丸亀市の学校司書の配置は、平成26年から変わらず(異動はあり)。小中学校全20校で1校専任配置(島嶼部3校は1人が兼務)。会計年度任用職員。
勤務時間:1日7.5時間(授業のある日)
年間勤務日数:授業日数+数日(長期休業中の勤務)
研修:コロナ禍で外部講師を招いての研修が中止されている。
学校図書館ボランティア:コロナで中止していた学校でも活動を再開し始めた。
・丸亀市では、最初の学校司書が、平成14年に、1校専任、4校で配置された後、徐々に増員された。一番長い学校では今年21年目になる。20年を振り返り、今後の課題について考える機会を設ける予定。
・会報『風 学校来ぶらり』は、会員だけでなく、市長、学校・幼稚園・保育園・こども園、PTA役員、教育委員会、教育委員、市議会議員などに配布。図書館や市民活動交流センターに、自由に持ち帰れるように置いている。
・毎年11月頃に、教育長に要望書を提出し懇談している。
◆知りたい情報など
・学校図書館を授業で活用するため、現職教育で研修に取り組んでいる学校の状況や内容。
・時間割に「読書の時間」の設定がある学校はどれくらいあるのか。働き方改革で、その時間に担任が関与しない学校はあるのか。
学校図書館を考える会・やまぐち(2022)
県内学校図書館には残念ながら特に進展はなく、前年のとおり変化は無かった。
県内13市6町の小中学校図書館への学校司書の配置は複数校兼務の巡回勤務で全員非正規職員であることに変わりなく、司書資格無しや他業務との兼務も含まれ、会計年度任用職員制度による勤務条件の好転も特にない。
県立高校図書館は相変わらず事務職員が兼務で、専門性を無視した配置を続けている、誠に遺憾な実態だ。
各学校は新型コロナ感染予防の対応と、昨年度からの全児童、生徒へのタ
ブレット端末配布による対応とに追われたのが実情であり、まがりなりに
も学校図書館の担当職員配置で小学校での利用はやや増加しているもの
の、中学校では相変わらず極めて低調で、高校では言わずもがなの現況
である。むしろ、情報機器の導入により図書・新聞・雑誌など多様な資
料の利活用がおろそかになる傾向が懸念される状況だ。
当会は、昨年4月グランドオープンの山口県立大学図書館とともに山口大学図書館の見学を計画したが、両大学ともに新型コロナ対策として学外者の入館が制限されたため残念ながら実施できず、今年度に延期する予定である。
学校図書館を考える会おかやま(2021)
●活動の流れ
2018年から「学校図書館を考える会おかやま」を設立。会計年度任用職員制度の導入によって学校司書の立場(任用)が大きく変わることを懸念し、講演会や図書館カフェなどを開く。署名活動は学校司書の専門性をいかしたいという多くの方の願いをうけて、23,690筆の署名を2018年10月に市へ提出。また、「学校図書館・図書館の充実を求める陳情書」を市議会に提出し、2019年9月議会で全会派一致での採択をされた。
● 岡山市の学校図書館「学校司書配置状況と待遇」の‘19年度と‘20年度との比較
*正規職員(勤務時間 38.75h/週)30 名 → 60 才退職により 25 名
*嘱託職員(勤務時間 36h/週)99 名 → 希望者 98 名が全員、会計年度任用職員(勤務時間 36h/週)として移行。
ただし、勤務時間については 2020年度から3年間は変更なし。職員月額報酬は 2020 年度から6年間は変更なし。
*司書職の正規の採用試験実施 → 採用者は公共図書館配置。学校図書館の
配置はなし
*元正規の学校司書が再任用職員(勤務時間 31h/週)として7名、配置された
●活動の成果
1)学校司書の1校1名配置の堅持
2)学校図書館・学校司書の役割や取り組みを発信し学習できる場の設置
(市民フォーラム、学校図書館 カフェなど)
3)学校図書館・学校司書の必要性について、市民の声を可視化し行政に届ける
(署名・陳情書の提出)
4)「学校図書館・市立図書館の充実を求める陳情書」が9月市議会において全会
派で採択
5)嘱託職員から会計年度任用職員へと、雇用の継続
● 課 題
1) 学校図書館・学校司書の役割や取り組を発信し学習できる場の拡充
2)学校司書の正規職員での全校配置
3)非正規職員での配置・待遇の改善
・継続雇用の保障 ・会計年度任用職員の勤務時間の4年目以降の保障
・職員報酬の6年経過後の改善 ・勤務時間の短い再任用職員のあり方の改善
沖縄県(2019)
沖縄県では、県立高校だけでなく、小中学校においても多くの地域で学校司書が配置されてきた経緯がある。様々な事情により、県全体の学校司書の正規職員の比率は低下してきているが、県立高校については、26年間の採用停止の後、2011年度に採用試験が復活し、その後「若干名」の募集枠の下、「退職者補充」という形で毎年、1名~3名程度が採用されてきた。
2018年度に実施された試験でも、当初は「若干名」という募集だったので、3名程度の採用かと思われたが、一次試験合格者が19名、二次試験合格者が13名、その後採用辞退もあったとのことで、最終的に配属されたのは10名となり、県内の図書館関係者の間でこの二桁の採用者数は大きな話題になった。そして2019年度実施試験では募集要項段階で「6名」と明記されている。
2018年度の県立高校の司書退職者は4名、うち2名は再雇用と聞いているので、退職者数よりも多く採用したということからは「学校司書の正規化」という方針が打ち出されたようにも思われる。ただし、大量採用があったということは、非正規雇用の方が退職したということでもある。現在も県立高校では非正規職員の比率は6割近くに上っている。この中には、26年間の採用停止期間に採用試験を受験する機会すらなかった方々もおられる。「正規化」という方針は歓迎しつつ、全国連絡会のネットワークの力もお借りして、採用試験の年限の撤廃なども求めていければと思っている。