学校図書館を考える会・静岡(2024)
静岡市では現在、小中学校103校に専任の学校司書が配置されています。勤務時間は1日5時間、日数は学級規模と児童数を基準に175日・163日・155日・125日・45日で資格は問われていません。中山間地を中心とした小規模校13校では通年で配置された学校図書館支援室所属の学校司書2名が、週あたり25時間で各校を月に一度巡回しています。
市教育センター学校図書館支援室では、今年度から全校で「学校司書による学習用端末を活用した授業支援実証研究」を実施しています。研究の目的として「児童生徒の情報活用能力や論理的思考能力を養うこと」「学校司書が授業や学習活動、司書業務に端末を活用することの効果を明確にして、今後の端末整備の資料とすること」があげられています。
本とICTのベストミックスを方針とする支援室の施策の前進であり、学校司書の役割を重視したものとして評価しています。施策の実現には専任・専門の学校司書が必須であることを働きかけていきたいと思います。
私たちの会では4年ぶりに対面の活動を再開しました。昨夏には学習会を開催し、中学校司書の実践報告と市立図書館司書の「電子図書館導入における学校図書館との連携」
を伺いました。
行政への働きかけとしては、5月に学校図書館支援室主事と面談し今年度の方針と取り組みを確認しました。また、昨年度末には市教育長からの声かけによる懇談を行い、専任・専門の学校司書の必要性や学校図書館のネット環境の整備、地方交付税措置の予算化などについて意見を届けることができました。オンラインで開催している月例会では、1月に近隣市の学校司書をゲストに招き、GIGAスクール構想以後の現状を伺いました。小人数ながら市内外の学校司書の参加により、楽しく有意義な例会となりました。今後もゆるやかにつながる場を設けていきたいと話し合っています。
今年度は6月に市内学校司書によるビブリオトークのワークショップと学校図書館ICT化の先進地、静岡県吉田町の学校司書を迎えて総会学習会を行いました。
豊中図書館の未来を考える会(2024)
豊中市では、中央図書館建設に伴う、分館の廃止・縮小、及び人件費削減政策に伴い学校図書館と公共図書館との連携に支障をきたしています。学校司書配置依頼30年、59校の小中学校は8公共図書館と連携してきました。今、前述の政策により、56の小中学校は4つの公共図書館と連携しています。4年後の中央図書館完成後は、約50校は中央図書館1館で連携をはかる計画です(小中一貫校の建設により学校数は減少しています)。
元来、学校図書館と公共図書館の連携は地域の子どもを地域で育てる主旨のもと、1公共図書館とその周辺の7~8校がその地域性を共有し、それぞれに活かすことが根付いていました。公共図書館では、その地域の学校のイベントの案内や生徒の作品展があったり、地域住民の子どもをあたたかく見守って来ました。中央館1館で学校図書館との連携をはかることは本来の目的ではありません。
今年度から公共図書館での勤務経験をもつ会計年度任用職員を学校図書館の欠員にあてています。実態はまだ調査できていません。
学校図書館を育てる吹田市民の会(2024)
2018年度に実現した、読書活動支援者(旧臨時職員・会計年度任用職員)の小学校36校への全校専任配置は、今年度も継続できています。勤務時間は9:45~16:30、週5日30時間です。ただし、支援者と学校側とで話し合うことで、1時間目から勤務することも可能です。
中学校18校は、2校兼務(隔週勤務)で、10:30~15:00、週5日20時間です。
当面の課題は、中学校の1校専任配置化、資料費増(新聞や雑誌の配備を含む)、研修増や読書活動支援者連絡会の開催など。連絡会については、昨年に引き続き、支援者全員参加のオンライン交流会が7月に実施されます。
毎年、会として要望書を提出し、教育委員会の担当者と懇談会を持っています。2023年に初めて「学校司書」への名称変更を要望しましたが、「支援者」という趣旨を明確にした
今の名称に固執する回答でした。公立図書館からの物流について、連絡車が月1回定期運行しています。会は回数増を要望していますが、支援者からの要望があまりないということで、しばらく増便は難しそうです。
支援者は、有志で月1回の自主勉強会を継続しています。市民の会は、それを応援するため、2月に箕面市立彩都の丘学園の図書館の見学会を開催、6月には図書館の出前講座を使って、調べ学習に使える本を中心に新刊を紹介する学習・交流会を開催します。
8月末には、総会と塩見昇氏を講師に招いた総会記念講演会を行う予定です。
学びを広げる学校図書館の会・堺(2024)
学校図書館についての懇談会を担当課学校教育部学校指導課と2024/5/20の10時30~12時に行いました。「学びを広げる学校図書館の会・堺」のメンバーで昨年まで、羽曳野市の学校司書をしていた方が参加され、実践例をお話していただいたので、担当課にも響いたのではないかと期待します。要望事項は以下となります。
〇専門職として適切な扱いをしてほしい。
・学校職員として、職員会議に出席できる(子どもの状況を把握する必要があるため、また
学校の日日の動き、考え方を知る)勤務時間を確保
・タブレットの配布
・教科書を学校図書館に蔵書として確保
・資料の選書については、学校司書参加の元での選書会議すること。
・司書教諭と図書館担当教員等とのコミュニケーションを取りやすい体制づくり。
・研修の機会を増やしてほしい。
〇働き方について
・異動要件として、本人の希望を聞き、継続的に務められるようにしてほしい。
・勤務時間・・・最低6時間の確保、時間給最低1500円に、社会保険、期末勤勉手当、残業代の保障も。
◎地方交付税の使い方・・・学校司書に使えるように、現状の有償ボランティアを学校司書1本にまとめる。そのことで、子どもたちや教諭とのコミュニケーションも豊かになる。
①子ども読書推進計画の中で5か年計画を立てて、1校1人6時間以上の学校司書の配置計画すること。
②資料のデータベース化して、市内小中学校・公共図書館との資料の相互貸借をすること。
③学校図書館支援センターを立ち上げ、全校に行き届いた学校図書館サービスをすること。
④各校学校図書館の統計を取る体制をつくること。
・学校の中の「もう一つの学校」として学校図書館が備える教育力を真剣にみてほしい。
「学校教育において欠くことのできない」基礎的な存在(学校図書館法第1条)としての役割を考察し、堺市の子どもたちの豊かな学びを広げることを強く要望しました。
より良い図書館をめざす会(2022)
三重県亀山市で図書館活動を充実させる市民活動に取り組んでいます。
亀山市の小中学校の学校図書館には、1名、非常勤の学校司書が配置されています。(週2~3日勤務、複数校掛け持ちの司書もあり)学校図書館アドバイザー(退職教員)を2名配置し、学校図書館活動の充実を目指しています。
私たちの会は、市立図書館の駅前への移転・新設にともない、市民と学校の図書館活動の充実を目指して、政策提言、要望、学習会、イベントなどを行っています。学校司書を支え、ボランティアとも協力し、市立図書館が学校図書館との連携を図り、学校図書館活動が充実することも活動の目標にしています
考えよか志摩の図書館(2018)
志摩市の学校図書館に学校司書を配置の市長要望をした。市長面談の後、市教委が、三重県でもっとも進んだ活動をしている多気町の学校図書館を視察に行ったそうだ。
多気町は町内小中学校7校すべてに、臨時職員だがフルタイムの学校司書を専任で配置している。各校に一人ずつ学校司書が配置されていることがどんなに素晴らしいかを見て、その結果、市教委は志摩市小中学校13校に、多気町と同様の配置を目指し13名の臨時学校司書を予算要望してくれた。しかし学校司書配置の必要性は理解を得ることが難しかったようで財政難を理由に最終的には3名に削減されてしまった。その結果、2018年3月末に3名が採用され、市内の小学校7校に、各校週2日(1校のみ3日)勤務する学校司書が配置された。一人で2校または3校の勤務形態。臨時的任用職員の待遇であり、長期休業中は勤務がなく、1年更新だが継続させていくとのことだった。
今回採用された3人は司書資格を持ち、小学校図書館ボランティアや公共図書館司書の経験者もおり、たまたま3人とも会のメンバーとなった。市教委は次年度以降も予算要望を続けて、中学校への配置を目指すとのことだった。「考えよか志摩の図書館」では、2月11日に、市民や市議会議員を対象に、学校司書の役割や学校図書館への理解を広めようと学習会を開催した。「志摩の子どもと本をつなごう」というテーマで、27名の参加があった。
本があって人がいる学校図書館を願う会(高松)(2024)
1997年、岡山県倉敷市で開催された「学校図書館に人を置こう全国の運動を語り合う集い97」への参加を機に、会を発足、高山智津子さんを招いて第1回「学校図書館を考えるつどい」を開催。以降、毎年講師を招いて20年間「つどい」を開催してきた(講師陣は、塩見昇さん・広瀬恒子さん・梅本恵さん・五十嵐絹子さんなど)。
1999年からは、市長・教育長に要望書を提出、教育委員会学校教育課と年3回懇談を行っている。2013年には、学校司書の配置状況や懇談の報告などを掲載した「ニュース」を創刊、高松市はもちろん、全国の学校図書館に関する情報や、学校司書自身が書く「学校図書館訪問」などを掲載し、現在31号まで発行している。
1996年に2名の学校司書が配置されて以来、2015年まではほぼ毎年増員され、62名の学校司書が市内69校の全小・中学校に配置されるに至った。しかし、全校専任配置まであと一歩のところで、財政が厳しいことを理由に増員がストップ、2020年度からは、小規模校の学校司書が、大規模校へ週に1日、サポートに行くケースが導入され、専任化に逆行するものと反対したが、現在は3ケースとなってしまっている。また、限られた予算の中で、特別な支援を必要とする児童生徒のための「特別支援員」や「生活支援員」の配置を優先したいとの理由で、2023年度は、学校司書が2名削減され、専任も4校減となってしまった。2024年度は現状維持であったが、こうした削減は、今後、継続される可能性が大である。
会計年度任用職員としての勤務は、週5日・1日6時間である。資格要件は、教員免許、司書教諭資格、または図書館司書資格を有するものとされている。実際の呼称は「学校図書館指導員」で、毎年「学校司書に変更を!」と要望しているものの、納得のいく理由のないまま変更されず、今に至る。
学校図書館を考える会・丸亀(2024)
【昨年度】
・講演会「豊かな学びを支える学校図書館を考える〜GIGAスクール時代の学校図書館でできること」講師 武田江美子さん(岡山市立平津小学校 学校司書)を開催。
・11月、丸亀市教育長に「小中学校の学校図書館充実に関する要望」を提出し懇談。
【今年度】
・丸亀市の学校司書の配置は、平成26年から変わらず(異動はあり)。
公立小中学校20校に1校1名専任配置。島嶼部の2校(令和2年から本島小と本島中が一箇所に)は1名が兼務。
・勤務時間:1日7.5時間。会計年度任用職員。島嶼部も今年度から同じ時間になった。
・年間勤務日数:授業日数+数日(長期休業中の勤務)
・新聞配備:小学校2紙、中学校3紙に増えた。
・学校図書館ボランティアの多様性…従来の子どもの保護者によるものと、地域学校協働本部(令和4年から市内小中学校がコミュニティースクールになり設置)に在籍するボランティアがある。
・会報『風 学校来ぶらり』は、会員だけでなく、市長、学校・幼稚園・保育園・こども園、PTA役員、教育委員会、教育委員、市議会議員などに配布。図書館などに、自由に持ち帰れるように置いている。香川県内の学校司書配置状況、丸亀の学校司書配置の歴史や思いも紡いでいる。
◆会計年度任用職員制度の影響について
もともと1年雇用の非常勤職員で、希望すれば更新できた。
会計年度任用職員制度になって、時給で1年ごとの更新は変わらないが、昇給がある(上限あり)し、ボ
ーナスがでるようになった。
学校図書館を考える会・やまぐち(2024)
今年(2024年)3月に、山口真也沖縄国際大学教授を講師に迎え、講演会「学校図書館と図書館の自由」を開催した。昨年より講演会開催に向け準備を進めたが、その背景には「図書館の自由に関する宣言」改訂(1979年)につながった「山口県立図書館蔵書隠匿事件」(1973年)から50年の節目の年だったことがある。改めて学校図書館における図書館の自由を取り上げ、学校教育のあり方や子どもの学び、読書とどのような関係にあるのかを学んだ。
山口県内の場合、公立小・中学校には正規採用の学校司書が一人も配置されておらず、しかも複数校兼務である場合が多い。また、公立高校についても「令和2年度 学校図書館の現状に関する調査」結果(文科省)では学校司書配置校の割合が100%になっているが、実態は学校事務との兼務による配置である。
当会はこのような現状をふまえ、県内の「考える会」やさまざまな立場の人をつなぎつつ、学習会や学校図書館見学、県教委への要望活動などを重ねてきた。しかし、諸般の事情により、今夏に新しく開館する柳井市立図書館の見学を最後に会の活動を終えることとなった。
学校図書館を考える会おかやま(2021)
●活動の流れ
2018年から「学校図書館を考える会おかやま」を設立。会計年度任用職員制度の導入によって学校司書の立場(任用)が大きく変わることを懸念し、講演会や図書館カフェなどを開く。署名活動は学校司書の専門性をいかしたいという多くの方の願いをうけて、23,690筆の署名を2018年10月に市へ提出。また、「学校図書館・図書館の充実を求める陳情書」を市議会に提出し、2019年9月議会で全会派一致での採択をされた。
● 岡山市の学校図書館「学校司書配置状況と待遇」の‘19年度と‘20年度との比較
*正規職員(勤務時間 38.75h/週)30 名 → 60 才退職により 25 名
*嘱託職員(勤務時間 36h/週)99 名 → 希望者 98 名が全員、会計年度任用職員(勤務時間 36h/週)として移行。
ただし、勤務時間については 2020年度から3年間は変更なし。職員月額報酬は 2020 年度から6年間は変更なし。
*司書職の正規の採用試験実施 → 採用者は公共図書館配置。学校図書館の
配置はなし
*元正規の学校司書が再任用職員(勤務時間 31h/週)として7名、配置された
●活動の成果
1)学校司書の1校1名配置の堅持
2)学校図書館・学校司書の役割や取り組みを発信し学習できる場の設置
(市民フォーラム、学校図書館 カフェなど)
3)学校図書館・学校司書の必要性について、市民の声を可視化し行政に届ける
(署名・陳情書の提出)
4)「学校図書館・市立図書館の充実を求める陳情書」が9月市議会において全会
派で採択
5)嘱託職員から会計年度任用職員へと、雇用の継続
● 課 題
1) 学校図書館・学校司書の役割や取り組を発信し学習できる場の拡充
2)学校司書の正規職員での全校配置
3)非正規職員での配置・待遇の改善
・継続雇用の保障 ・会計年度任用職員の勤務時間の4年目以降の保障
・職員報酬の6年経過後の改善 ・勤務時間の短い再任用職員のあり方の改善
沖縄県(2019)
沖縄県では、県立高校だけでなく、小中学校においても多くの地域で学校司書が配置されてきた経緯がある。様々な事情により、県全体の学校司書の正規職員の比率は低下してきているが、県立高校については、26年間の採用停止の後、2011年度に採用試験が復活し、その後「若干名」の募集枠の下、「退職者補充」という形で毎年、1名~3名程度が採用されてきた。
2018年度に実施された試験でも、当初は「若干名」という募集だったので、3名程度の採用かと思われたが、一次試験合格者が19名、二次試験合格者が13名、その後採用辞退もあったとのことで、最終的に配属されたのは10名となり、県内の図書館関係者の間でこの二桁の採用者数は大きな話題になった。そして2019年度実施試験では募集要項段階で「6名」と明記されている。
2018年度の県立高校の司書退職者は4名、うち2名は再雇用と聞いているので、退職者数よりも多く採用したということからは「学校司書の正規化」という方針が打ち出されたようにも思われる。ただし、大量採用があったということは、非正規雇用の方が退職したということでもある。現在も県立高校では非正規職員の比率は6割近くに上っている。この中には、26年間の採用停止期間に採用試験を受験する機会すらなかった方々もおられる。「正規化」という方針は歓迎しつつ、全国連絡会のネットワークの力もお借りして、採用試験の年限の撤廃なども求めていければと思っている。